国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
それから数時間。

夕暮れに差し掛かっても、ミリアンは無我夢中でその分厚い本を読んでいた。今まで観賞するだけで楽しんでいた植物も、その詳しい生態がわかるとどんどん興味が湧いていった。すでに半分まで読み上げ、庭園や温室に咲いていた植物についても少しわかった。しかし、名もない花についてはまだ記載がない。ページをめくると、見覚えのある花の絵が目に入る。

(これ、ラメダの花だわ)

この花が持つ毒を知らずにうっかり触れてしまった指先は、レイの手当によって今朝には赤身も腫れも引いて昨夜の痛みも嘘のように治っていた。その本によれば、ラメダの花は冬場にだけ花が咲き、開花は一週間。花弁には透明で粘着質の毒がある。甘い独特の香りで虫をおびき寄せ捕食する食虫植物と記されていた。花が枯れて生った実を乾燥させ、粉末にすると鎮静剤の作用を持つ薬になるらしい。

夢中で本を読んでいると、視界の端にほわりと灯りが射した気配を感じてミリアンはハッと顔を上げた。

「ここで何をしている?」
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