国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「いいんだよ。今夜は金回りのいい客が多かったから、弾んでおいたよ。よかったら何か食べていくかい?」

満面の笑顔で食事を勧めてくる店主に、本当は空腹で今にも腹の虫が鳴りだしそうだったがミリアンは軽く首を振って遠慮した。

「ありがとうございます。でも、仕事が終わったらすぐに帰らなくちゃ、牧師様が心配するし」

「あー、そうだったな、ロパ牧師はほんとに心配性だからね。でも、夜の王都を女性が出歩くのに心配しない男はいないさ」

そう言って、店主が声を立てて笑うとミリアンも笑顔になった。

「じゃあ、私はこれで帰ります。また明日」

ミリアンはコートを羽織り、帰り支度をして店主にペコリと頭を下げた。

「あぁ、気をつけて帰るんだよ、裏口開けておいたから」

大きな樽から注文された酒をグラスに注ぎながら、店主がミリアンに手を振って彼女もそれに応えてから裏口へ向かった。
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