国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
裏口を出ると、そこは小さな路地になっていて、右に曲がれば大通りに出られる。外に出ると、王都の喧騒がどこからともなく聞こえてきた。
眠ることを知らない王都。
ミリアンはなぜ自分がこのラタニア王国に連れてこられたのか知らない。
火事から助け出してくれた村人は、自分の家もなくなってしまったというのに、たった一人の肉親を失ったミリアンのことを心配してくれた。しかし、全員それぞれに家族を持ち、己の生活もままならないために孤児になってしまったミリアンを、無責任に面倒を見ることができなかった。それに住んでいた村が、一体ここからどれだけ離れていたかもわからない。ただ、わかるのはこの不夜城で生きていることだけ。
(早く帰って寝よう)
そう思って路地を歩き出そうとした時だった。
「誰か! 誰か助けて!!」
夜闇につんざくような女の金切り声がすぐ近くで聞こえて、ビクリと肩をすくませその声がした方向を咄嗟に振り向いた。どこかで誰かが襲われている。夜の王都では日常茶飯事だったが、実際に間近で起こると一瞬にして緊張が走った。
自分が行ってもなんの役にも立たないかもしれない、それに万が一巻き込まれでもしたら……。そんな思いが頭の中を駆け巡っていたが、気が付くとミリアンはその声のした方へ駆け出していた。
眠ることを知らない王都。
ミリアンはなぜ自分がこのラタニア王国に連れてこられたのか知らない。
火事から助け出してくれた村人は、自分の家もなくなってしまったというのに、たった一人の肉親を失ったミリアンのことを心配してくれた。しかし、全員それぞれに家族を持ち、己の生活もままならないために孤児になってしまったミリアンを、無責任に面倒を見ることができなかった。それに住んでいた村が、一体ここからどれだけ離れていたかもわからない。ただ、わかるのはこの不夜城で生きていることだけ。
(早く帰って寝よう)
そう思って路地を歩き出そうとした時だった。
「誰か! 誰か助けて!!」
夜闇につんざくような女の金切り声がすぐ近くで聞こえて、ビクリと肩をすくませその声がした方向を咄嗟に振り向いた。どこかで誰かが襲われている。夜の王都では日常茶飯事だったが、実際に間近で起こると一瞬にして緊張が走った。
自分が行ってもなんの役にも立たないかもしれない、それに万が一巻き込まれでもしたら……。そんな思いが頭の中を駆け巡っていたが、気が付くとミリアンはその声のした方へ駆け出していた。