国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ふと、先日彼女に言われた言葉を思い出す。それは怒りに満ち溢れていて、もう二度と、あの美しい歌声を聴かせてはくれないだろうと、諦めにも似た感情がレイを鬱々とさせた。初めは、まるで宝石かなにかを自分のものにするような感覚だった。金糸のような艶やかな髪、陶器のように白い肌。そして柔らかな唇……。

申し分なくミリアンは美しかった。容姿の良い女には不自由はしていなかった。気まぐれに娼婦と戯れたことはあっても、その後に残る虚無感はどうすることもできなかった。しかし、ミリアンと接していくうちに彼女の秘めた芯の強さと強情な性格が、今までにない何かを感じてならなかった。

ミリアンの首に火傷の痕を見つけた時、嫌な予感はした。そして、ロザリオを持っていたことでレイはミリアンがサーナの娘だったと確信した。彼女の火傷は消えることなく、あの夜の惨劇を一生思い起こさせる。何も多くは語らなかったが、その苦しみをひとりで抱えていると思うと、レイはいてもたってもいられなくなってしまった。

そして次第にレイはミリアンを自分の元へ置いておく術を考えるようになった。
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