国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ラタニアの国宝を持つ者を守れなかった贖罪、義務……いや、そうではない。

彼女が欲しい――。

それは単純かつ明快な答えだった。

考えた末、レイは嘘をついた。彼女の心を傷つけてまで……。

(我ながら愚かな策だったな……)

母を殺したのは自分だとミリアンに告げた時、彼女は目を見開き悲痛な面持ちで唇を小刻みに震わせていた。その姿がレイの胸を締め付けた。なぜならば、本当の真実は違ったからだ。ありもしないことを言ってミリアンを傷つけたことは、多少なりとも後悔したが、彼女を守り、繋ぎ止めていくにはそうするしかなかったのだ。

ミリアンはいまだに自分を心のどこかで恐れている。冷血王と言われ彼女から愛されることなどありえない。だから手中に留めておきたいがために憎しみの感情で執着するように仕向けた。もちろん父に認めてもらうために人を殺め、剣を振るったことなど一度もない。すべてはミリアンに沸き起こる憎しみを煽るため。
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