国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
セルゲイの独白にミリアンはじっと黙って耳を傾ける。

「ティアゴ陛下はサーナのためと、貧困で薬を買えない自国の国民を顧みず、ラタニアの国力が傾き始めていたというのに、保護国と言いながらソルマンテ王国に莫大な財政資金を送り続けていた。私はそのことに多大なる危機を感じていました。そして、あの女さえ消えてしまえば、と思ったのです」

セルゲイが口を閉じると、辺りは長い静寂に包まれた。聞こえるのは小さな波が押し寄せては引く音だけ。

「セルゲイ、ひとつだけ確認したいことがある」

ミリアンの背後でレイが浜辺の砂を踏む気配がする。両ひざをついて俯くセルゲイの目の前に立ち、そして見下ろした。

「エバート国王の諜報員に金を渡して偽の情報を掴ませたのは、お前か?」

セルゲイがビクリと肩を跳ねさせる。黙り続けていたが、それが答えだった。
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