国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「そんな顔で怒らないで、その男がどうしても邪魔するもんだから薬漬けにして捕まえておいたんだよ、そうしたら思わぬことを白状したんだ。素敵な物語だったよ、だからミリアンにも聞かせてあげようと思って連れてきたんだ。この男がもしかしたら一番ミリアンの母上のことを知っているかもね」

「どういうこと……?」

見ると、セルゲイの目の焦点はちらついて合わさっていなかった。いつもの毅然とした表情は見る影もない。

「……ラタニア王国の繁栄とレイ国王陛下が私のすべてだったのです」

なんとか膝をついて身を起こすと、セルゲイがぽつりぽつりと語りだした。

「ティアゴ国王陛下がサーナを愛したことで、なにもかもが狂ってしまった……あの女に現を抜かしていなければ、私の妻は……死なずに済んだ」

セルゲイにはレイラという十年も前に亡くなった妻がいた。病に伏したレイラは、薬が手に入らずに亡くなった貧困層のひとりだったのだ。
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