国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ジェイス、情けないわね。女にひっぱたかれたくらいで尻もちつくなんて、ずっと私を守り抜いてくれたレイ様の方がよっぽど男らしくてかっこいいわ。あなたなんか大嫌い、二度と顔も見たくない」

すると、リムルの兵士からクスクスという忍び笑いが湧く。それは王太子ではあるが、本当は腹の底でどう思われていたのかということを表していた。いまだかつてない侮辱、そしてミリアンに全力で拒否されたジェイスは立ち上がることも忘れて放心していた。

その光景にレイもセルゲイも呆気に取られて動きが止まっていた。そして次にミリアンはレイに殴られてそのままの恰好でいるセルゲイの元へ寄り、そっと手を伸ばして支え起こした。

「なぜだ……」

セルゲイはミリアンの行動が理解できないといったふうに、目を丸くしている。

「もう終わりにしましょう。あなたの憎しみも私の憎しみも、すべて……」

慈悲深いミリアンの姿は美しく、まるで女神のように輝いていた。
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