国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ついでにラタニアの王都に買い物に行ってきたんだ、欲しい香油があってね。ここの王都は広いだろ? うちにはないものがたくさん揃ってる」
ジェイスの父、エバート国王が統べるリムル王国もラタニアに劣らない国力のある王国だ。好奇心旺盛なジェイスは、視察と称してたまに他国へふらっと足を運ぶ。
そんな彼と出会ったのはミリアンが十歳、ジェイスが二十歳の時だった。教会での暮らしにまだ馴染めず、堪えきれなくなったミリアンはある日ひとりで教会を飛び出したことがあった。そして森の中で道に迷い、途方に暮れているところをジェイスに助けてもらったのだ。それからというもの、時々ミリアンの顔を見に来ては互いに親交を深めていった。
「ここへはいつ来たの? 疲れているでしょうに」
「今朝だよ。今夜は王都の宿屋で泊まるつもり、まったく……この国は広すぎるんだよなぁ、日帰りで行けないのが何よりの欠点だよ、はぁ疲れた」
そう言いながら、ジェイスは頭の後ろに両手をあてがいゴロンと寝そべった。
ラタニア王国の領土は広大で、国外へ出るには馬でも半日はかかる。ずっと馬に揺られて森を抜け山を越え、ようやく王都へたどり着き、ジェイスは疲労の色を隠せないようだった。
ジェイスの父、エバート国王が統べるリムル王国もラタニアに劣らない国力のある王国だ。好奇心旺盛なジェイスは、視察と称してたまに他国へふらっと足を運ぶ。
そんな彼と出会ったのはミリアンが十歳、ジェイスが二十歳の時だった。教会での暮らしにまだ馴染めず、堪えきれなくなったミリアンはある日ひとりで教会を飛び出したことがあった。そして森の中で道に迷い、途方に暮れているところをジェイスに助けてもらったのだ。それからというもの、時々ミリアンの顔を見に来ては互いに親交を深めていった。
「ここへはいつ来たの? 疲れているでしょうに」
「今朝だよ。今夜は王都の宿屋で泊まるつもり、まったく……この国は広すぎるんだよなぁ、日帰りで行けないのが何よりの欠点だよ、はぁ疲れた」
そう言いながら、ジェイスは頭の後ろに両手をあてがいゴロンと寝そべった。
ラタニア王国の領土は広大で、国外へ出るには馬でも半日はかかる。ずっと馬に揺られて森を抜け山を越え、ようやく王都へたどり着き、ジェイスは疲労の色を隠せないようだった。