国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「それに、僕はあまりこの国にとっては歓迎されない客だからね、ラタニアの騎士団に目を付けられる前に帰らなきゃ」
近年、リムル王国は徐々に勢力を増し、ラタニア王国に次ぐ第二の大国になりつつある。
国王エバートはジェイスの明朗な性格とは逆に、傲慢で狡猾な面がある。国土を広めようとかつてラタニア王国の領域へ侵略しようとした結果、戦争勃発とまではいかないものの冷戦状態が続いている。
「こんなところよりも、本当は君をリムル王国へ連れて行きたいんだ」
こんなところ、と言われてミリアンは少しムッとしたが、苦手な雰囲気になりそうでミリアンは素早く口を開いた。
「私はここが気に入っているの、それに教会の子どもたちだって置いては行けないわ」
「それなら、この教会ごとリムルへ移転すればいい。僕は本気なんだ……ミリアン、君を僕の妻にすること」
ジェイスがミリアンの髪を手で掬う。愛おしげに指で弄び、その指をするりと抜ける。ミリアンは唇を濡らしたが、言葉が見つからない。ジェイスは一国の王族だ。自分とは身分が違いすぎる。それに、ミリアンはジェイスに対して好意は抱いていたが、特別な感情は抱いていなかった。
近年、リムル王国は徐々に勢力を増し、ラタニア王国に次ぐ第二の大国になりつつある。
国王エバートはジェイスの明朗な性格とは逆に、傲慢で狡猾な面がある。国土を広めようとかつてラタニア王国の領域へ侵略しようとした結果、戦争勃発とまではいかないものの冷戦状態が続いている。
「こんなところよりも、本当は君をリムル王国へ連れて行きたいんだ」
こんなところ、と言われてミリアンは少しムッとしたが、苦手な雰囲気になりそうでミリアンは素早く口を開いた。
「私はここが気に入っているの、それに教会の子どもたちだって置いては行けないわ」
「それなら、この教会ごとリムルへ移転すればいい。僕は本気なんだ……ミリアン、君を僕の妻にすること」
ジェイスがミリアンの髪を手で掬う。愛おしげに指で弄び、その指をするりと抜ける。ミリアンは唇を濡らしたが、言葉が見つからない。ジェイスは一国の王族だ。自分とは身分が違いすぎる。それに、ミリアンはジェイスに対して好意は抱いていたが、特別な感情は抱いていなかった。