国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「僕はこう見えても気の長い男だからね、返事は急がない」

「ジェイス……」

申し訳なさでいっぱいになる。自分に愛情を向けてくれているというのに……。

「ごめんなさい」

ミリアンは応えられない気持ちに謝罪することしかできなかった。すると、ジェイスはむくっと身体を起こして眉を下げた。

「謝らないで欲しい。君を困らせているのは僕なんだから……ほら、そんな顔しないで笑って見せて」

そっとジェイスの暖かな手のひらがミリアンの頬を包む。ミリアンは少しだけ笑うと、それで満足したようにジェイスがさっと立ち上がった。

「もう行くよ、天気が良くても風は冷たい。ミリアン、また来る」

「えぇ。気をつけて」

続いてミリアンもその場を立ち、笑って自分に背を向けるジェイスを見送った。
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