国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「国王陛下の謁見までここに居ろ、妙な真似してこれ以上罪を重くするなよ」

石造りの城は冷たく薄暗く不気味に思えた。地下にある鉄格子の牢屋に連れてこられると、背中を突き押されて乱暴に中へ押しやられる。

「こんな格好でどんな妙な真似ができるというの?」

キッと睨みつけると、口を結んだままセルゲイは見下して目を細めた。

鉄の塊のような南京錠をかけられる重々しい施錠の音が響き渡り、セルゲイと兵士の足音が徐々に遠のいていった。牢屋へ入れられる時に手首の拘束は解かれたものの、ここへ来るまでずっと縛られていたため痺れて感覚が無い。うまく動かせない震える手を眺めてミリアンはハァと長い長いため息をついた。

(どうしよう。捕まっちゃった……ロパ牧師も子どもたちも朝になって私がいなかったら、きっと心配するでしょうね)

ミリアンは何をするでもなく、寝台さえない小さな牢屋の隅に腰を下ろして膝を抱えた。
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