国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
ここへ連れてこられるときに、護身用にいつも携えていた短剣もセルゲイに没収されてしまった。これでは完全に自分の身を守ることもできない。
(せっかく仕事も見つかったのに、これじゃクビになっちゃうかも)
ミリアンは胸元のチェーンを手繰り寄せ、姿を現したロザリオを手に取って眺めた。
――それはあなたを守ってくれるとても大切なものなの、だから簡単に人に渡したり見せたりしちゃだめよ。
母の言葉をふと思い出す。十字に絡みつく竜と目が合うと、きらりと真紅の光が反射する。洗練されたロザリオはしっくりとミリアンの手のひらに収まっている。
(きっとなにかの間違いだわ、大丈夫。すぐにここから出られる)
いまにも折れそうな心を奮い立たすと、ロザリオをギュッと握り締めた。
ミリアンが閉じ込められている牢屋には窓がなかった。夜が明けたのか、まだ暗いのかさえわからない。神経が逆だっているのか、睡魔の誘いもなく冷え切った身体を掻き抱いた。
ここへ連れてこられてどのくらい時間が経っただろう。なにかしていないと寒さだけが感じられて凍えそうだった。
(そうだ!)
(せっかく仕事も見つかったのに、これじゃクビになっちゃうかも)
ミリアンは胸元のチェーンを手繰り寄せ、姿を現したロザリオを手に取って眺めた。
――それはあなたを守ってくれるとても大切なものなの、だから簡単に人に渡したり見せたりしちゃだめよ。
母の言葉をふと思い出す。十字に絡みつく竜と目が合うと、きらりと真紅の光が反射する。洗練されたロザリオはしっくりとミリアンの手のひらに収まっている。
(きっとなにかの間違いだわ、大丈夫。すぐにここから出られる)
いまにも折れそうな心を奮い立たすと、ロザリオをギュッと握り締めた。
ミリアンが閉じ込められている牢屋には窓がなかった。夜が明けたのか、まだ暗いのかさえわからない。神経が逆だっているのか、睡魔の誘いもなく冷え切った身体を掻き抱いた。
ここへ連れてこられてどのくらい時間が経っただろう。なにかしていないと寒さだけが感じられて凍えそうだった。
(そうだ!)