国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「おい、起きろ、謁見の時間だ」
牢屋の隅で膝を抱えながら突っ伏していると、頭の上から声が降ってきた。
「ん……」
こんな状況でもいつの間にか寝てしまっていたようだ。ミリアンはずっと同じ格好をしていたため、こわばった節々に顔をしかめた。
「立て」
まだはっきりとしない頭の中、ミリアンは腕を掴まれて無理やりその場に立たされた。顔を上げると、昨夜、自分を連行した男、セルゲイと目が合う。彼は変わらぬ無愛想な態度でミリアンが自分の足で立てるか確認したあと、再び後ろに手を組まされて縄で拘束しようとした。しかし、セルゲイはその手を止める。
「逃げも隠れもしませんけれど、縄をつけたければどうぞ」
「いや、それには及ばない。お前がひとりでどうこうできるとは思えないからな」
セルゲイは擦り切れてうっ血しているミリアンの手首を見て拘束を思い留まったのだ。国王陛下の御前に、罪人を自由の身で出すのも憚れたがわずかな情がそうさせた。
牢屋の隅で膝を抱えながら突っ伏していると、頭の上から声が降ってきた。
「ん……」
こんな状況でもいつの間にか寝てしまっていたようだ。ミリアンはずっと同じ格好をしていたため、こわばった節々に顔をしかめた。
「立て」
まだはっきりとしない頭の中、ミリアンは腕を掴まれて無理やりその場に立たされた。顔を上げると、昨夜、自分を連行した男、セルゲイと目が合う。彼は変わらぬ無愛想な態度でミリアンが自分の足で立てるか確認したあと、再び後ろに手を組まされて縄で拘束しようとした。しかし、セルゲイはその手を止める。
「逃げも隠れもしませんけれど、縄をつけたければどうぞ」
「いや、それには及ばない。お前がひとりでどうこうできるとは思えないからな」
セルゲイは擦り切れてうっ血しているミリアンの手首を見て拘束を思い留まったのだ。国王陛下の御前に、罪人を自由の身で出すのも憚れたがわずかな情がそうさせた。