国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「では、まずあの夜の事情をこちらから話そう」

あの夜の事情?ミリアンは咄嗟にそう聞き返そうとしたが、言葉を呑んだ。

「お前は、ローデン教会に住むピレネ食堂の給仕だな?」

身元を調べられている。そう思うと、ミリアンははたしてこの男がどこまで自分のことを知っているか怖くなった。

「そうです。間違いありません」

「昨今、あのピレネ食堂で違法な取引きが盛んに行われていることは知っているか?」

そう質問されてミリアンは答えに詰まった。詰まるということは「知っている」と言っているも同然なのだが、レイは静かにそして低い声で話を続けた。

「まぁ、そんなことを知っていたとしても、所詮お前には関係のないことだが……あの夜、私が追い詰めていた女は、ラタニアでは違法であるリコルタの草を国外から持ち込もうとしていた。いわゆる運び屋だ」

「え……?」
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