極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
ベッドと床との段差が少なかったせいか、たいして痛くもなかったけれど、彼は慌てて駆け寄ってきて、床に崩れ落ちた私を抱き上げた。

「バカっ……なにやって……」

思いもよらない形で念願のお姫さま抱っこをされ、バチリと近距離で目が合ってしまう。

猛々しいながらも整った顔立ち。こんなに近距離で見るのは初めてだ。

鼓動が、ドクドクと激しく高鳴りだして、わけもわからぬまま涙が出そうになる。

「……行っちゃ、いやです……」

もう一度、強く呟いて唇をかむ。

彼は真剣な眼差しで眉をしかめる。彼の喉仏が一度、大きく上下した。

「さっきから自分がなに言ってるのか、わかってるのか?」

私の体をベッドの上へ横たえると、私の顔の右横に勢いよく手をついた。

ベッドのスプリングが耳のうしろでギッと鳴って、思わずゴクリと渇いた吐息を飲み込む。

仕事で見せるどんな表情よりも真面目に唇を引き結んで、彼は私をじっと見つめていた。
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