極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
けれど。私の決意は彼に伝わらなかったみたいだ。

ちらりとこちらへ視線をよこした後。

「……そういうことを頼むのは、特別な相手だけにしろ。ほら、鍵、返すから」

私へ向かって、合鍵を突きつけてきた。

暗闇の中、儚げにキラリと光る合鍵を、私は黙って受け取り握りしめた。

もう、鍵、持っててもらえないんだ。当たり前だけれど。

さよならを突きつけられたような気がして、どうしようもなく胸が痛んだ。

呆然とする私をよそに、彼は玄関に向かって歩き出す。

私、今、もしかして振られたの……?

うやむやにされた気がして、胸の中がもやもやする。いっそのこと、ハッキリと拒絶された方がマシだ。

「待っ……」

彼に向かってもう一度手を伸ばしたとき。

自分が泥酔していることを思い出した。重心が前へ投げ出されバランスが取れなくなって、咄嗟にベッドの下に手をつくけれど、支え切れずべしゃっと崩れ落ちた。

「きゃっ!」

「咲島!」
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