極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「逢沢。もしもお前がこの先、仕事以外で彼女に関わろうとするなら、どんな手を使ってでもお前を彼女から引き剥がす」

ゾッとするような声色で、脅すように神崎さんは告げた。視界を奪われた私の元にも、逢沢さんの戸惑う気配が伝わってくる。

「わかったら、ここからさっさと出ていけ」

その言葉に弾かれるように、ギィィ、と玄関のドアの開く音が聞こえて……。

「……それでも俺は、お前が正しいとは思わないよ、神崎。お前が幸せに出来なかった女性を、俺は知っている……」

喉を掠れさせながら逢沢さんは吐き捨てる。けれど、その声はどこか弱々しく、迷いが見え隠れしていた。

「俺のことは、いくら恨んでくれてもかまわない。だが、彼女は巻き込むな」

神崎さんの答えに、逢沢さんは一瞬沈黙する。

「咲島さん……乱暴なことをしてすまなかった」

ぽつりとひと言、私への謝罪の言葉を残し、逢沢さんの足音が玄関の外に消えていった。

バタン、とドアが閉まり、私と神崎さんだけがこの場に残される。
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