極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
やるせなく、きゅっと彼のシャツを掴んだ。

過ちのあの夜、体を重ねる直前まで、私たちの関係は男女じゃなかったはずだ。

あまりに突然すぎて、そこにあったのが本当に愛だったのか、不安になってしまう。

愛おしいその表情を、じっと見つめていると狂いそうになる。

自分の中にある愛を強く自覚するほどに、彼への不安は増していくから……。

泣きそうな私の眼差しに応えて、彼がゆっくりと口を開く。

「……お前が俺を好きだったことくらい、何年も前からとっくに気づいていた」

「え?」

何年も前に……? ドキドキしながら見上げると、彼はふっと苦笑いを浮かべて頬を緩めた。

「わかりやすいんだよ、お前は。毎日毎日キラキラした瞳で見つめられたら、嫌でも気づくだろ」
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