極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
あの夜に奮った、なけなしの勇気。それが彼の心に届いていただなんて。

嬉しくて、切なくて、なんだか涙が出そうになってしまう。

「考えないようにしていたが、もしかしたら、俺もお前と同じだったのかもしれない。ずっと……愛していた」

私の体をぎゅっと抱きしめて、彼が掠れた声をあげた。

悲痛な叫びにも似たその声に、とうとうひと滴、涙がこぼれ落ちた。

「……私も……ずっとずっと、好きでした」

「わかってる。長い間、答えてやれなくてごめん。これから何倍も、何十倍も、時間をかけて埋め合わせするから、許してくれ」

私の涙を拭った彼の親指がそのまま頬をすり抜けて、耳のうしろへ回り首筋を愛撫する。

そおっと目を閉じると、答えるように口づけを落としてくれる。

交わる度に、彼への愛が膨らんでいく。

愛してる。もっとキスをちょうだい。

ねだるように彼の首筋に手を回した。
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