はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜父親サイド

「遅い、若菜は何をしているのだ!」



お祖父様はいつも若菜ちゃんに対して怒ってばかりいるが、今日の原因は大雅じゃないのか?



婿養子の分際で、ツッコミ入れられるわけもなく、黙ったままでいた。



「旦那様、様子を見て来ましょうか?」



書生の言葉に、お祖父様が頷いた。



書生が部屋を出て、十数秒後



「ぎゃあああああ!!」



という叫び声が、屋敷中に響き渡った。



そこにいた全員が、声の方へ向かう。



大雅の部屋だった。



中を見ると…



首を吊り、変わり果てた姿の大雅がいた。



みんなで大雅を降ろす…否、自分はそうはしなかった。



「倖雷、手伝わんか!」



お祖父様の声も、自分の耳には入らない。



大雅の本当の父親であるお祖父様と同様、心配なのは自分の子供のことだけだ。



声をあげることもなく、目を見開いたまま微動だにしない若菜ちゃんだけ…。



「若菜ちゃん!若菜ちゃん!!」



相当ショックなのか、全く反応がない。



今できることは、この場をこれ以上見せないことだけ。



若菜ちゃんの目を手で覆うと、少し離れた場所で様子を窺う通いのお手伝いに声をかけた。



「若菜ちゃんの部屋に、布団を敷きなさい!」



若菜ちゃんを担いで、大雅の部屋を出た。











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