はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
学校へ向かうと、校門前に真っ赤な車が停まっていた。



「ねぇ、キミ。」



車の持ち主なのか、ロン毛を脱色した軽薄そうな男が私を呼び止めた。



「何?」



「野田優(ノダ・スグル)って、知ってる?」



「一応。」



一応って言ったのは、同じ部活の先輩だけど、向こうは幽霊部員で交流がないから。



「呼んできてもらっても良いかな?」



どうせ2年の教室を通るのだから…と思い、了承した。



昼休みに入ったばかりの教室に向かい、ドアのそばにいた男の先輩に声をかけると、快く応じてくれた。



野田先輩は眠っていたのか、何度呼んでも反応がなく、しまいには頭を叩かれていた。



先輩が出てきたので、まずは一礼。



呼び出した詫びの言葉を、発しようとした瞬間…。



「坂下の子飼いが、何の用?」



なんて言われた。



子飼いなんて表現をしているものの、実際は…。



「“坂下先生の囲い女”って、はっきり言えば?」



どうよ、言いたいこと代弁してやったわよ!



「それ、噂だろ?」



この人は、私が坂下にくっ付いて自主練してることを揶揄しただけのようだ。



とりあえず、校門に軽薄そうな男が訪ねてきてることを教えて、その場をあとにした。



それにしても、上級生まで知っているとは…。



噂は、どこまで広がっているんだろう?











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