はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「…パパ?」



「桐生さん、そのように私を呼ぶのは、金輪際やめていただけませんか?」



いきなり、何で?



「私…、何かした?」



それに対して、坂下は左右に頭を振るだけだった。



だったら私の居場所、取り上げないでよ…。



私は、坂下が大好き。



だけど、愛人にして欲しいって望んだことは一度もなかった。



父のことを軽蔑しておいて、坂下にそれを求めるのは間違ってるし。



ただ、ツラいときに抱きしめて頭を撫でて欲しかっただけ…。



だから“娘”でいられるだけで、十分幸せだった。



「気に入らないとこあったら直すし、ちゃんと和歌ちゃんに似せるように頑張るから…。」



そう言って、なおも縋りつこうとすると、坂下は私を引き剥がした。



「ワカは、私の娘ではありません!」



私が娘じゃないことくらい、そんなにはっきり言われなくたって分かってる。



その言葉を聞いたら、胸が苦しくて、どうしようもなくて…。



私は、この場から逃げるように走った。










< 127 / 286 >

この作品をシェア

pagetop