はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
私は、まだ戦える…。



家に戻ると、葬儀社の人が来ていて準備を進めていた。



お兄ちゃんの首についた痕も、既にファンデーションで消されていた。



もう、マフラーは要らないよね…。



そう思っていたら、胸に『黒川』ってプレート付けたオジサンが私に言った。



「それを、是非巻いてあげてください。

きっと、お兄さんも喜びます。」



そう言ってくれたから、私は言われたとおりにした。



体面を重んじる桐生家の葬儀は、かなり大々的に行うのが慣わしなのだけど…。



病気や事故ならともかく、自殺ではそういうわけにもいかない。



お兄ちゃんは桐生家の跡取りなのに、密葬という形を取らざるを得なかった。



火葬まで、あっという間に済んでしまった。









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