はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「行きたくないって…。

もしかして、この前言ってた優しかった先生って…部活の顧問?」



「そうだよ。

さっさと、転勤してくれないかなぁ。」



そしたら、もう坂下と顔を合わせることもない。



会うことがなければ、いつかこんな気持ちは消えていくだろう。



「そう都合良く、事が運ぶわけないだろ。

居て欲しい人ほど転勤して、ヤな奴だと思ったのは残るもんなんだよ。」



「ふーん…。

転勤して欲しくない先生とか、居たんだ?」



私は、顔を上げながら聞いた。



「まぁな、その先生に出会って教師になろうって思ったし…。」



「文ちゃんも、若菜ちゃんくらいの年にはそういうことあったな…。」



さっきまで黙ってたマスターが、昔を思い出したのか、懐かしそうに口を開く。



見た目は軽薄でも、ちゃんと自分のやるべきことや夢を考えて行動してるんだ。



私にも、自分が進むべき道を決められるのかな?



私は、コーヒーを飲んでる目の前の男を見直した。










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