はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「確かに…いつでもおいでとは言ったけど、ホントに毎日来るか?」



バナナ牛乳を出しながら、マスターが呆れた口調で言う。



「他に行くとこ、無いもん。」



春休みに入ってから毎日、喫茶店に入り浸る。



「また来てたのか、悩める少年。」



そう言いながら店に入ってきたのは、この前の軽薄男。



「私には若菜って名前がある…ってか、少年じゃないわよ!」



「その髪、男子並みに短いぜ。」



セミロングからベリーショートに、バッサリ切った髪を差しながら言った。



「あー、はいはいはい。

もう少年で良いし。」



「拗ねないでよ、若菜ちゃん。

フラストレーション溜まってるなら、話聞いてあげるからさぁ…。」



「文(ブン)ちゃんの場合、聞くだけだけどな。」



さすがマスター、言い得て妙な言葉だ。



「病院行けって、毎日言われるし

部屋の内側から鍵取り付けても、いつ書生が入ってくるか分かんないから落ち着かないし、

春休みだから、学校行く用事無いし…。」



ため息を吐きながら、カウンターに頭を預けた。



「春休みって、部活無いのかよ?」



「あるよ。」



「あるんなら行けよ。」



「行きたくない…。」



坂下と会うの、ツライもん…。












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