はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
コーヒーの香りが店いっぱいに広がったところで、夏目がやってきた。



「おっ、もしかしてスペシャル淹れてる?

マスター、オレにも!」



「文ちゃんは、金払えよ。」



「マスター、堅いコト言わないでよ。

若菜ちゃんの作品、ちゃんと表装するからさ。」



「仕方ないなぁ…。」



そう言いながらも、ちゃんと夏目の分もコーヒーを淹れる。



目の前にコーヒーが置かれたので、いつものようにミルクと砂糖をたっぷり入れようとした。



「あーっ、ちょっと待て!

お前、いきなりミルクや砂糖入れるなよ。」



「何で?入れなかったら、苦くて飲めないじゃん。」



「まぁまぁ文ちゃん、味の好みは人それぞれなんだし…。」



「それでも、せめてコーヒーの香りだけでも堪能してからにしてやってよ。

コレ、売り物にしたら高いんだからさ…。」



夏目の言うことはもっともだと思い、香りを楽しんでからそのまま1口飲んでみた。



やっぱり、私には苦かった…。



結局、砂糖とミルクを入れたけど、いつもの半分の量でも大丈夫だった。



「この苦味が美味しいなんて、思える日が来るのかな…。」



「そしたら、お前も晴れて大人の仲間入り…なんてな。」



私の言葉に、夏目がおどけて言う。



そんな様子を、マスターが楽しげに眺めていた。











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