はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
お腹いっぱいになった私たちが、ボーっとしていると、足音が聞こえてきた。



私と深夏は固唾を飲んで、身を潜める。



足音は、階段のちょっと下で止んだ。



恐る恐る下を覗きこむと、赤茶色の髪した女子生徒が階段に腰掛けて携帯を開いていた。



染めて傷んだ髪の生徒は相当いるけど、あの色で艶やかな髪の生徒はウチの学校に1人しかいない。



アンジェ先輩だった。



彼女は携帯を弄るわけでもなく、ただそれを眺めていた。



『待受画像でも見てるのかな?』



深夏がメール作成画面で文章を打つと、私に見せてきた。



『そうかも?』



深夏の携帯を手に取ると、打ち返した。



『フィルターかかってて見えないけど、何の画像か分かる?』



ネタ集めなんだろうけど、人のプライバシーを暴くのはちょっと…。



覗く気は無かったけど、携帯の角度が変わった拍子に待受が見えた。



画像は、坂下だった。



深夏に教えてあげたら、いいネタになるだろう。



私との噂も治まって、坂下と前みたいな関係に戻れるかもしれない。



だけど、膝を抱えて



「私って、ホント馬鹿。」



って落ちこむ彼女を見たら…。



『私にも見えない。』



って、打ってしまった。








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