はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
屋上は、確か鍵が掛かってたはずだから…。



屋上に続いてる階段のとこなら誰も来ないだろうし、サボるには絶好の場だろうと思って来た。



「ワカは、授業サボっても良かったの?」




最近、出席率が悪い私を心配してか、深夏が口を開く。



「どうせLHRだし、大丈夫。」



私が座り込むと、深夏もそれに続いた。



「それより、お弁当食べなよ。

手を付けないまま、持ち帰るわけにいかないでしょ?」



「うん。」



深夏はお弁当を開くと、食べ始めた。



深夏はお母さんと仲良しだから、お弁当に手を付けなかったら心を痛めるに違いない。



私は、何とも思わないけどね。



ペットボトルの水を一口飲んで、独り言のように呟く。



「なぁんか良いよね、こういうの…。」



「サボることが?」



口の端にごはんつぶをつけた深夏が、怪訝そうな顔して聞く。



「違うよ、久しぶりにミカと過ごすことができたなぁって…。」



深夏のごはんつぶを取ると、それを口にした。



心がささくれ立ってた私にとって、この穏やかな時間は…。



オアシスの水に等しかった。







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