はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「今、坂下先生がどうとか…聞こえたけど?」



部室のドアから声がしたので振り向くと、1年がいた。



この前、坂下にデコピン喰らいそうになった時に止めてくれた子だ。



「盗み聞きかよ、どこから聞いてた?」



野田先輩は、不機嫌そうに言い放った。



そういえば、頑張っても追いつかないって、野田先輩に向かって言ったのも彼女だ。



「今来たとこで、盗み聞きなんてしてません。

それよりも、桐生センパイは練習しなくて良いんですかぁ?」



この子、あの追いつかないってセリフ、私に向かって言ってたワケ!?



私の眉間に皺が寄るのも構わず、彼女は続けて話す。



「坂下先生、桐生センパイには甘いよね?

手震えちゃって、デコピン出来ないくらい…。」



そこで彼女は、ケタケタ笑う。



何が言いたいんだろう?



「やっぱし、亡くなった自分の娘に瓜二つだから?」



何で、それをこの子が知ってるの!?



「何で?って顔、してるよね。

坂下先生から聞いた…に、決まってるじゃん。

そうだ、桐生センパイが可哀想だからイイこと教えてあげる。」









< 178 / 286 >

この作品をシェア

pagetop