はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
こういうのは、ロクでもないことだというのが相場だ。



「別に、聞きたくないし…。」



「遠慮しなくて良いじゃん。

坂下先生、桐生センパイのこと…娘にしか見えないんだって。」



分かっていることだけど、人から言われるとショックで…。



「知ってる。

で、それが何なの?」



泣きたくなるような気持ちを隠して、私は無表情のまま彼女に言い放った。



「なぁんだ、つまんないの…。」



そう言う彼女に、野田先輩が言い放った。



「いい加減にしろよ!」



言われた1年は、ビクッと肩を竦めると足早に去っていった。



部室が、静寂に包まれた。



片付けをしてた野田先輩が、バッグから何か取り出す。



「ほら、鼻かむとスッキリするぞ。」



私に差し出したのは、ポケットティッシュ。



いつの間にか、涙を流してたらしい。



「ありがとうございます。」



私はそう言うと、1枚取る。



そして、思いっきり鼻をかんだ。







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