はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
文化祭前の放課後は、毎日部活がある。



部室に行ったところで邪魔されるのは分かりきってるし、帰ろうかと思った時だった。



「桐生、頼みがあるんだけど…。

ちょっと来てくれるかな?」



野田先輩に声をかけられ着いて行くと、空き教室に体育祭の応援合戦を仕切る団員が勢揃いしていた。



まさか、私があまりにも運痴だから今からシゴくとか!?



応援団なだけあって、イカつい男子ばかりで…。



警戒した私は、野田先輩の背中にへばりついて周りを見回した。



そんな私の様子を見て



「誰も、取って喰いはしないよ。

団長は怖そうに見えるかもしれないけど、女の子には甘いから。」



誰かが言った言葉に、笑う先輩たち。



ここに連れて来られたのは、団旗の文字を私に書いて欲しいからだという。



チームカラーは赤に決定だけど、チーム名は今から決めるんだとか…。



決めてから呼んでよね…って、呆れてると



「応援団以外立入禁止にしたから、書道部の魔女どもに妨害されずに展示作品も仕上げられるだろ?」



と、野田先輩がほくそ笑んだ。



私のために作品を仕上げる機会を作ってくれたんだと思うと、嬉しい気持ちで一杯になる。



「邪魔しに来る奴は、追っ払ってやるからな。」



他の先輩たちからも心強い言葉を貰え、作品を仕上げるのに集中できた。






< 206 / 286 >

この作品をシェア

pagetop