はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「余合先輩、さっきはごめんなさい。」



私は、頭を下げる。



「大丈夫だから、気にしないで。」



ホントは文句の1つも言いたい筈なのに、優しい人だ。



流石、アークエンジェルって呼ばれるだけある。



だけど、周りの男子からは…。



「梨香(リコ)ちゃんが許しても、俺らは許さないからな。

…と言いたいとこだが、ウチのチームに貢献したから許してやろう。」



なんて、笑いを含んだ声で言われた。



敵の籠に玉入れたんだから、笑われても仕方ない。



「何が、『許してやろう』だ?

偉そうに言うな。」



その声に振り向くと、蒼がいた。



青組って、蒼からチーム名付けたんだっけ…。



そう考えながら、整った顔を眺める。



「桐生と違って、余合の頭に多少ぶつけたところで影響ないから安心しろ。」



私の頭と違って…?



「余合は可愛いのが取り柄だから馬鹿でも良いけど、桐生の取り柄は勉強だからな。」



余合先輩は馬鹿って酷いと反論してたけど、私は可愛くないって言われたようなものだ。



「あー、そーですね。

他は出来損ないだから、ぶつけないよーに気をつけるし。」



「拗ねるな。

それよりも、担任に散々罵倒されてただろ?可哀想に…。

仇、討ってやるから。」



「見てたんだ、鬼マサ。」



私の頭の上に、蒼がポンと手を置いた。



応援席に戻ると、3年だけは



「ドンマイ。」



って、温かく迎えてくれた。



澤弥先輩がお仕置きだと称して、私の頭を撫で回す。



「桐生ちゃんだって、一所懸命頑張ったのにな…。」



担任に罵倒されてたの、澤弥先輩も見てたのかな?



髪はぐちゃぐちゃだけど、決して嫌じゃなかった。









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