はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
お昼前に、教職員の競技が行われた。



体力のある若い先生が、チームに貢献するために出る。



ウチのチームは、1年担当の若い先生…だったかな?話したこともないから、よく知らない。



放送部にも突っ込まれてたけど、その中で40を超えた坂下を出すなんて青組は何考えてるんだろ?



蒼がいるでしょ?



そう思いながら、競技を見てた。



借り物が書いてある紙を開いた坂下は、真っ直ぐ朱火組の応援席に向かってきた。



「敵に貸すものなんてナイよ。」



「坂下、他当たって。」



坂下が何を借りに来たのかも聞かず、先輩たちは追い払う。



だけど、坂下は怯むことなく朱火組の応援席の中に入り込んだ。



そして、私の目の前で立ち止まると



「野田くんでも構わないのですが…。」



そう言って、私の右隣にいる野田先輩を一瞥した。



坂下の狙いは、多分…私。



澤弥先輩もそれを感じたのか、私を渡さまいと坂下を羽交い締めしようとする。



だけど坂下は、それをすり抜けると…。



「いででで…!」



あっという間に、澤弥先輩の腕を捻りあげた。



私が10人いても、こんなこと出来そうにない。



坂下は、意外と強いのかもしれない。



それを証明するかのように、空手部の生徒たちは息を飲んで坂下を見つめてるだけだった。







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