はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
坂下がどんな手を使ったかは分からないけど、体育の補習はグラウンドで陸上競技をすることで決着がついた。



暑いし走るの遅いから嫌なんだけど、プールよりマシだから仕方ない。



「はぁ~、疲れた…。」



日陰で休んでいると、坂下がこっちに向かってきた。



補習が終わると、いつもスポーツドリンクを手にして来てくれる。



「ワカ、ちゃんと水分補給しないと熱中症になってしまいますよ。」



そう言って、今日もスポーツドリンクを手渡してくれた。



「ありがとう!」



私はそれを受け取ると、一気に飲み干した。



坂下と一緒に過ごす、この時間が好き。



そう考えると、苦手な体育の補習も悪くない。



「最近、鬼マサ見かけないね。」



「蒼先生は、郊外の海辺で合宿です。」



海かぁ…。



「いいなぁ、こんな暑い日に海の中へ入ったら気持ちいいだろうな…。」



坂下が、ん?っていう表情で私を見た。



「あれほど、水泳を嫌がっていたのに…ですか?」



「人がいないとこだったら…。

でも、そう都合よくはいかないよね。」



「ありますよ。」



坂下が、微笑みながら言った。



「ホント?

じゃあ、連れてって!」



「しかし…。」



何か、あるの?



私が首を傾げると、坂下は続けて言った。



「ワカは、私がいても構わないのですか?」



「もちろん、パパと一緒に行きたい!」



明後日、坂下と遊びに行く約束をした。








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