だから何ですか?




それでも、こんな風に歩きながらつけるけじめでもないだろうと根気よく言葉を連ねれば、ようやくピタリと足を止め体もこちらにまっすぐに向け直してくる彼女。


でも・・・簡潔にって何だ。


そう突っ込みたい気持ちはあれど仕事があると言う彼女の事情も考慮すれば余計な意識は不採用で、



「つきあってるから」


「・・・・」


「俺は亜豆が好きで、亜豆も俺が好きで・・・つきあって、亜豆は俺のモノだと思ってる」


「・・・・」



一瞬人目を気にして声のトーンに気を使ったけれど、よくよく考えれば滅多に人の来ない屋上フロアのエレベーター前だ。


気遣う必要もなかったと改めてまっすぐに亜豆を見つめ下してその反応を待って静かなフロアの音を耳に取り入れる。


すぐ下の階あたりまでエレベーターが浮上してきているんだろう。


到着音が響くのを聞き入れたのは俺だけではなく亜豆もだったらしく、視線がチラリと横のエレベーターに動いたのを見逃さない。



「私と、」


「ん、」


「私と伊万里さんはお付き合いをしている」


「うん、」


「つまりは恋人同士だと。・・・そういう事でいいんですよね?」


「うん・・・まぁ、そうなんだけど、」


「じゃあ、それで」


「・・・・・」



あまりの冷静かつ淡々とした解釈の説明に何とも言えずに不動になってしまった。




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