だから何ですか?




苛立ちながらかければ都合よく取ったの亜豆本人で、器械越しに響く声でも耳に直に吹き込まれる音には目的も忘れかけて少し心が浮ついた。


それでも、だ。


うっかり絆されてどうする。と目的を頭に、それでも大っぴらに私用電話だとばれても困るからいかにもな言い回しで言葉を弾けば、一瞬考え込んだようだった亜豆もすぐに本質を見つけだしたらしい。


だけども特別焦る様子もなく、さらりと『ああ』なんて納得する反応にはますますイラッと目を細めた。



「突然すみません。どうやらこちらに伝達ミスがあったようで俺に伝わってきたのがつい先刻でして」


『そうでしたか。それはそれは』


「一体どういう約束でどういう接待状況なのかと確認したいと思いまして」


『・・・・出てください』


「あっ?」



合コンにか?


と、亜豆のよく分からない一言に素の感情のまま声を漏らした直後、机を小突いていた手のすぐ横に放置してあった携帯が知らない番号を表示し震え出す。


それと持っていた受話器を交互に見つめていれば、



『切ります』



そんな声が小さく聞こえて受話器の方の通話が途切れる。


そうなってしまえば必然的に携帯の番号の主は理解して、受話器を携帯に持ち替え、応答しながら席を立ちフロアを足早に抜けていく。



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