だから何ですか?




そう、晒したくない。


馬鹿だと言われそうな程の勝手な独占欲だと思う。


今までその存在を何とも思っていなかった癖に。


他の男が噂していても何とも思わなかった癖に。


好きだと自覚してしまえば簡単に名前に反応して、他の奴が噂することさえ苛立ちの要因になる。


ましてや他の奴が向ける好意の視線なんて見たくもなければ晒したり触れさせたくもない。



「亜豆の良さは俺だけが知ってればいい」


『・・・・』


「そうだろ?」


『・・・・伊万里さん、』


「ん?」


『惚れそうです』


「・・・・・」


『凄い・・・好きになりそうです』



だから・・・なんでそんな感想なんだって。


おかしいだろ。


もうとっくに、惚れてるんだろ?好きなんだろ?


なのに、お前・・・



「っ・・・煽るなって、」



天然魔性女。


どこまで予想外なんだ。


予測も立たず会話に安心なんてない。


迷走ばっかで疲れるのにどうしてか進むことをやめたいと思えない。


だって、進めば進むほど、疲れた拍子に不意に甘いご褒美が落とされて、それは酷く甘美に身に染みて依存する。


馬鹿みたいだ。


一方的に不満をぶつけようと思ってかけた電話がいつの間にか用途を変えて、憤りで上がっていた熱が今は形を変えて体を熱くしている。


そんな自分の熱を下げる為ではないけれど、目についた自販でスポーツドリンクを買うと開栓して口に運んだ。




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