だから何ですか?
冬の夕刻は日が落ちるのが早い。
夏であるならこの時間は昼かと紛うほどに明るい空が広がる日もあるというのに。
そんな事を思いふけ見上げる空はすでに濃紺。
まわりを見渡せば時期が時期だけにイルミネーションの明かりから、普通に車のヘッドライトまでが街を彩り浮れている。
それでも身を置くのは屋上で、さすがに車のヘッドライトまでは確認は出来ていないのだけども。
入り口横の壁に寄りかかり、ハァッと吐きだすのは紫煙ではない。
寒い空気に触れ登っていく自分の息を見つめ、濃紺にポツリポツリ光る星を何の気なしに見つめていれば。
過敏。
耳に小さく入り込んだ音に全神経が集中して、聞き間違いではなくそれが近づく音に小さく息を吐く。
コツンコツンと焦るでもなく慌てるでもない一定の響き。
それに沸く心もあるのに焦れったいともどかしく感じる自分もいる。
それでも待っていればその音はすぐ近くまで距離を寄せて、コツンの響きが自分の待横にある扉のノブの捻る音に切り替わった直後。
「っ・・・ビックリした。てっきりいつもの定位置かと」
ああ、なんか新鮮。
そう思うのはいつもみたいにすっきりとした装いでなく、終業時間すぎての帰宅のスタイル全開にコートにマフラーを身につけた姿だったからだろう。
勿論その条件はこちらも同じでマフラーにコートを身につけた状態で屋上で亜豆を待っていたわけだけど。
呼び出したのは俺。
得た番号で言葉短くここに来るようにメールした。