だから何ですか?




多分俺の言葉の引用。


お返しだと言わんばかりにはにかんで言われた響きには馬鹿正直に胸が締め付けられた感じがする。


俺のノリの悪さが嬉しかったって何だよ。


嫉妬交じりの視線が逆に独占欲疼いたとか・・・・。



「攫いてぇ、」


「えっ?」


「・・・・今すぐ攫って2人きりになりたいくらいには好きだっつってんだよ」



本当・・・独占してえ。


大っぴらに触れ合えもしないこんな場所苦痛でしかない。


ご馳走を前に焦らされているような、そんな感覚ばかりでもどかしい。


とはいえ、そうそう抜け出せる空気でもないしな。と諦めたように溜め息をつく。


今ならチャンスと言えばそうだが、上着もなければ荷物だってあの場所だ。


この寒空に防寒着も金銭もなく動くのは無謀すぎると再度息を吐きだしたタイミング。


しばらくはそんな俺をじっと見つめていた亜豆がスッと体を動かすと何も言わずに背を向ける。



「おいっ、」



何も言わずに行くのかよ。なんて、亜豆らしい行動に苦笑いを浮かべて体を起こすと。



「・・・1分後」


「・・・はっ?」


「いえ2分後に席に戻ってきてください」


「はいっ?」


「時間厳守ですよ」



そんな言葉を残すと余計な言葉なく歩き去って行く姿を呆けて見つめる。


< 134 / 421 >

この作品をシェア

pagetop