だから何ですか?
「・・・もう少しお付き合いしたかったのですが、・・・この後恋人と約束がありまして。今日はここで失礼します」
「えっ?何?亜豆って彼氏いたの?」
「居たというより・・・出来たっていう方がまだしっくりくると思う」
「ヤダッ!うそぉぉ!言ってよ教えてよぉ!詳しくお姉さんに聞かせなさい!」
「マジでぇ、うわぁぁ、なんかショックだし大ニュースじゃん!秘書課のクールビューティーに彼氏がいたってゴシップだよぉ!」
反応様々。
秘書課の女性陣はキャーキャー言って盛り上がり、男性陣の方もショックがりながらもその話題に盛り上がって食いついているような。
はて・・・何この場面。
えっ?えっ?・・・・恋人と約束あったんですか?
そんな突っ込みが浮かぶもどういう展開かと呆けて傍観してしまっていて、そんな間にも冷やかされながら身支度を整え『それでは』と席を離れ始めた亜豆がこちらに。
皆に背を向け俺と対峙した瞬間にフフッと笑うと、
「コートでも忘れたんですか?・・・では、お疲れ様です」
「えっと・・えっ?帰るの?本気で?」
「はい、申し訳ありませんが。待ってる人がいますので」
そんな言葉を残してコツコツとヒール響かせ歩き去って行く姿に呆けつつも馬鹿ではない。
ああ・・・ああ、コート。
成程、コート。