だから何ですか?
確かに、煙草を吸いに出た筈の俺が寒くなってコートを取りに来ても不自然ではない。
しかも俺が席に戻りきる直前で抜けた彼女の駆け引きは上手い。
成程。と納得しながら慌てるでもなく、自分の席に戻ると立ったままビールを飲みながら、
「外、結構冷えてるぞ。このままで煙草ふかしたけど寒くて無理だったわ」
「そりゃそうだろ。ってか、よくそのまま僅かにも吸ったよなぁ」
「悲しいかなニコチン中毒でさ。じゃ、改めて吸って来るわ。適当に俺の酒頼んでおいてくれない?」
「了解~」
そんな会話を繰り広げながらコートを纏い携帯をポケットに入れて、すぐ戻るという場を作って離れ始める。
何ともあっさりすんなり。
まったく疑われるでもなく自分も緊張感なく、自然な形で店を抜けると肌に触れた外気の冷たさにブルッと震えた。
これは本当に寒い。
肩を軽く竦め白い息を漂わせながら先にこの寒さに身を晒した姿を探して左右に首を振って。
そうしてそう遠くない街路樹の下でベンチに座ってコーヒーを飲んでいる姿を捉えて口の端が上がった。
本当・・・敵わない。
急ぎ足でもなく、普通と思える自分の歩調で近づいて、座っている彼女の横にストンと身を下すととりあえずは一息。