だから何ですか?
そもそも俺が荒立って声をかけるシーンではないのだけども、それでも直前の疑惑もあってどこかしら緊張していた感覚なのに、見事緩ませにきたような亜豆の反応。
それに良い意味で脱力し扉に身を預けながらはっきりとしないガラスの向こうの様子を伺って。
「亜豆、」
「・・・・」
「亜豆さん、」
「・・・・」
「・・・・好きなんだけど、」
「私の方がもっと好きです」
「フハッ、」
だから、何で負けず嫌いばかりは反応せざるを得ないんだよ?
この反応ばかりが予想以上に自分の心を安堵させる。
とにかく俺が好きで好きで、子供の様に躊躇いもなく好きだと言い張って好意を示す。
そこに一点の曇りも見せないから不安には最適な特効薬となるらしい。
すげぇ・・・好き。
「触りてぇ・・・」
「っ・・・」
「キスしたい」
「っ!?」
「抱きしめたい」
「なっ、!?」
「押し倒したい」
「っ~~伊万里さん!?セクハラですか!?」
「いや。単なる俺の心に素直な欲求の吐露です。口にしたらたまたま亜豆がそこに居ただけ」
「っ・・・はた迷惑な」
「でも、・・・そんな俺が好きなんだろ?」
「好きですよ」
もうここまで来ると笑うしかない。
意地を張って嘘でも嫌いと不貞腐れてもおかしくない流れと会話であったのに。
絶対に・・・自分の気持ちに嘘をつかないんだな。