だから何ですか?
「ああ、でも、」
戸惑いに満ちている俺に思い出したような声を弾くと、相変わらずのヒール音をコツコツ響かせ戻り近づいてきた姿。
そのまま俺の左手を持ちあげるとポケットから取り出した何かをパラパラと乗せてくる。
乗りきらずポトリと落ちたものも数個。
きょとんとして見つめた詳細は、
「・・・チ〇ルチョコ?」
「お好きでしょう?チョコ。土日に尽く応答出来なかったお詫びです。それと、好きです」
「もはや挨拶なのか?その告白」
「一日一回は言わないと落ち着かないという事は挨拶ばりに当たり前の感情の吐露でしょうか」
「っ・・・・お前は相変わらず無表情で淡々と、」
本当に尽く拍子抜け。
相変わらずこちらがドキリとする事をさらりと何食わぬ当たり前顔で告げてくる。
それに・・・電話に出れなかったっていう罪悪はあったのか。
その罪悪がこの山もりのチョコレートに変わったと。
何と言っていいのか、亜豆は亜豆だなとどこか安堵した場面でもあった。
この2日間のモヤッと渦巻いていた不安の感情も自然と掻き消えるような。
ああ、本当・・・、
「亜豆、」
これで用事は済んだとばかり、すでに身を返して戻りかけていた姿に呼びかけて、『はい?』と振り返ってきた亜豆に身を屈めて顔を寄せた。