だから何ですか?
「おはようございます」
「・・・・・・」
自分の出勤時間は割と早い方だと自覚している。
下手したら一番乗りでこのフロアに居て、誰もいない静かな空間で仕事を集中して進めるのが好きだからだ。
今日に限っては絶対に残業はしたくないと言う予防策も兼ねてで、当然一番乗りだろうと静かなフロアを欠伸交じりに横切って、そうして特別何も考えずに自分のブースに入りかけて不動になったわけだ。
思ってもみなかった姿の存在で。
自分が普段身を置く椅子にどかりと座りこんで足を組みコーヒーを飲んでいたのは久しぶりと言えそうな亜豆の姿で。
チラリと視界に収めたデスクの上に山盛りになっているチョコレートは気のせいだろうか?
何とも言えない衝撃との遭遇に苦笑いで鞄を置き、マフラーをはずしながら再度チョコレートを捉えると、
「うわぁ・・・妖精さんがいる」
「妖精さん?・・・大丈夫ですか?寝ぼけているのか頭が湧いているのか」
「お前の事だよ。それともストーカーとでも言えばいいのか?煙草泥棒」
「泥棒とは失敬な。物々交換というものでしょう」
「一方的なな」
ああ、ほら、なんだよ・・・。
いつもの亜豆だ。
避けてる様子なんてまるでなくて、こうして顔を合わせれば変わることなくいつもの会話だ。
違う事を上げるなら煙草の匂いと煙がない事。