だから何ですか?
屋上でないところの逢瀬はまだ少し新鮮さが強烈だ。
しかもこの場所での顔合わせはあの日以来か。
そうして思い出すのは初めて亜豆とキスした記憶で、初々しいと言える反応を回想すれば必然的に金曜日の事も思いだして阿呆みたいに、
「ヤバッ、欲情しそう」
「・・・それも最早挨拶ですよね。人の事捕まえては欲情やら煽るなやら」
「お前が普段から無自覚に誘いすぎなんだよ」
「それがよく分からないんですよ。誘う誘わないは別に気を引きたい時ははっきりと『好き』だって言ってます」
「・・・それだよ」
何を堂々とはっきり宣言してくれてんだ?
その感情に恥じることもなければ出し惜しみもしないとはっきり伝わってくる亜豆の真顔の宣言にはうっかりこっちが言い負かされる。
相変わらずだな。
本当、悩んでた自分がアホらしくなるほど今日も亜豆は【俺馬鹿】だ。
結局こうして絆されるんだよなぁ。なんて亜豆を向き合う様にデスクに寄りかかれば、どうやら俺の分のコーヒーも用意して待っていてくれたらしく差し出してくる。
それを『サンキュ』と受け取り口に運んで、煙草ではなくコーヒーの香り交じりの逢瀬もいいな。なんて思って一息。