だから何ですか?
それでもどんなに打ちひしがれて落胆しようがその事実はひっくり返らないらしく、申し訳なさそうに眼鏡を外すと様子を伺う様に覗き込んできた亜豆の困り顔。
「すみません。予想外の急用が入り込みました」
「・・・・仕事?」
「いえ、プライベートな事です。でも、そちらの方は日付の変更が効かなくて」
「・・・・」
『プライベートって?』
と、細かく追及するのは亜豆を信用しないことになるんだろうか?
喉元までその疑問は浮上しているけれど音として発していいものなのかと思い悩んで無言になる。
そんな無言に申し訳なさそうにしている亜豆も更に困ったように眉尻を下げる姿に、口を開いたけれど響かせたのは諦めの溜め息。
いや、本当は諦めきれていないけれど諦めたように見せた溜め息か。
自分にもいい聞かすような。
「埋め合わせ・・・してくれるんだよな?」
「それは勿論!むしろ私がしたくて仕方ないので。次の日の金曜であるなら遅くなってもいいなら時間が取れますが・・・でも、時間が読めないのではっきりとは言えないんですが」
「・・・・・・はぁ、俺って・・・心せま、」
「伊万里さん?」
なんかつくづく狭いと感じてしまったこの瞬間。
俺の疑い混じりの取り繕った大人対応に、こんな時でも感情のまま、申し訳なさそうに、それでもとにかく自分の非を埋め合わせようと必死になってくれる姿に自分の大人げない感情が嫌になる。