だから何ですか?
本当に意味が分からない。
普通好きな相手になら好かれる方が嬉しいだろ、楽しいだろ。
意識されてると言ったって、嫌われて邪険にされて何が楽しいんだ?
価値観の相違の幅が広すぎるのかもしれない。
さっきまでの憤りはすでに無いにしても、どうも別の生き物を見る感覚で見つめていれば。
「あ〜、いたいた。亜豆、」
賑やかな方から割ってくる様に響いて近づいてきた声は、明らかに彼女の名を呼び意識を引いた。
しかも、どこか聞き覚えのある声の響きだと、自分の意識もそちらに向ければ。
「っ・・・何でいる?海音(みね)しかも、・・・亜豆と・・一緒?」
「おお、誰かと思えば我が社のクリエイティブのエースの伊万里 和(より)くん。奇遇だねぇ」
クスクスと笑いながら目の前の亜豆の横に並んだ姿は嫌って程記憶にある。
色素の薄いストレートの髪をさらりと揺らし、すれ違う相手を男女問わず無意識に誘惑している様な妖艶さ。
年齢は俺の2つ程上であったか。
その身を上質なスーツで包み微笑む姿は何を隠そう我が社の若き社長様なのだ。
そして・・・俺の友人とも言える。