だから何ですか?
あっ・・・・・・・・・っと、思った時には時すでに遅し。
背後から見てもそれは見事真正面からもろに浴びせられたと分かって驚愕に固まる。
このための・・・水でしたか。
そんな今更の理解は遅いんだろうな、うん。
海音のデスクにまっすぐ突き進んだかと思えば、手に持っていたカップの水を容赦なく海音の顔にぶちまけた亜豆がいて。
見事被害を被った海音の髪から顔からポタリポタリと滴が落ちる。
まさかの展開には無関係だと逃げ出したい気持ちが何よりも強い。
どうするんだコレ!と、何をどうしていいのか分からず放心状態で不動でいると。
「伊万里さんに何言って虐めてくれたか知らないけど、ある事ない事吹き込んで引っ掻きまわす気なら今度は熱々の珈琲ぶっかけてやるから」
コンッと実に響く音を立てながら海音の前に置かれた紙コップ。
その手を握る亜豆の手の力が何だか目に見える様で軽く怯んで苦笑いが浮かんでしまう。
いや、啖呵を切る姿は惚れ直す程格好いいのだけども。
それでもやっぱり『ええ~、大丈夫か?』と海音の反応を伺えば、不意に響いたククッという笑い声。
滴っていた水をハンカチで拭き始め、『あーあ』なんて言いながら亜豆を見つめ直してにっこりと微笑みだす。