だから何ですか?






一応俺としても海音には一発食らわしたいくらいの憤りはあった筈なのに、衝撃的な亜豆のぶっかけを目の前にしたらそれで消化となったらしい。


本当に亜豆と関わってから度々色々な事が不完全燃焼で終わっている気がする。


今もまさにだと2人のやり取りを見守って、言いたい事は言いきったらしい亜豆がクルリと向きを変えるとさっき同様の足取りでこちらに戻り俺の腕を掴んでくる。



「行きましょう」


「あっ・・・」



結局ここで俺が発した声って驚愕に漏れた音ばかりだったんじゃなかろうか。


行きも帰りも亜豆の勢いに引きずられ、最後に視界に捉えた海音はおかしそうにククッと笑っている姿で片手を振る。


結局何が何なのか?


困惑のまま社長室から身を出して、そのまま亜豆が向かったのはエレベーター。・・・ではなく、非常階段の扉だ。


これまたどういう行動なんだ?と誘導されるままに引かれていき、重い鉄の扉をくぐるとヒヤリとした空気と人っ気のなさ。


滅多に入り込むことのない空間に『へぇ』と新鮮さを感じて見渡したのは一瞬。


重い扉が背後でカチャリと静かに閉った音を聞き入れた直後。



「っ・・・」



くるりと向き直ってきた亜豆が飛びこむように抱き付いてきて、その勢いによろめきすぐ後ろの扉にもたれかかった。



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